ブラームス:交響曲第1番の解説!構成や特徴を楽譜とともに徹底分析

ブラームス:交響曲第1番の解説!構成や特徴を楽譜とともに徹底分析 ブラームス
ブラームス:交響曲第1番の解説!構成や特徴を楽譜とともに徹底分析
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ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms)の交響曲は全部で4つあります。

今回ご紹介する曲は最初の交響曲である「ブラームス交響曲第1番」!

ブラームスの「交響曲第1番」はドラマやアニメ「のだめカンタービレ」に出てきて、一躍有名になった曲でクラシックファン以外の方も聞いたことのあるフレーズがあるかもしれません!

でも交響曲第1番が作曲されるまでには、とても長い期間がかかったことやブラームスの苦労があったことをご存じでしょうか?

この記事では、ブラームス「交響曲第1番」について構成や豆知識、特徴などをまとめて解説していきます!

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ブラームス交響曲第1番:背景

ブラームス交響曲第1番

作曲に21年もかかった?!

ブラームスは交響曲第1番の作曲に、着想から書き終えるまでなんと「21年」もかかっているんです!

もちろん21年間この曲のことばかり考えていたわけではないでしょうが、なぜこんなに時間がかかったのか?
それはベートーヴェンの存在が大きく関係しています。

ベートーヴェンは交響曲を9つ残していますがどれも傑作と称えられたものばかり。
後世の作曲家たちはこれを超える曲を書こうと頑張っていましたが、なかなか筆が進まない日々が続いていました。
参考までに、ベートーヴェンより前のモーツァルトやハイドン時代は王家に曲を献上する目的で作っていたため、交響曲は何十曲もあるのが普通だったんです。

ブラームスは特にベートーヴェンを尊敬していたので、21年も曲を練りまくり悩んでしまったのですね。
相当なプレッシャーを感じていたようです!だから完成時には1876年、43歳になっていました。

ベートーヴェンを意識した手紙

ベートーヴェンはブラームスが生まれる6年前に亡くなっていますが、ブラームスには大きな存在として映っていたようです。
当時の有名な指揮者であるハンス・フォン・ビューローに手紙で「ベートーヴェンという巨人が背後から行進して来るのを聞くと、とても交響曲を書く気にはならない」と書いて送っています。

しかしブラームスの交響曲第1番完成後、ハンス・フォン・ビューローは「ベートーヴェンの第10交響曲だ!」と大絶賛しているんですよ。

初演では批評家たちのあまり思わしくない意見もあり、さらに改訂が加えられて翌年に最終的な楽譜として出版されています。

クララ・シューマンに何度も聴かせていた

ブラームスは作曲家ロベルト・シューマンの妻・ピアニストである、クララ・シューマンと生涯仲の良い友人関係であったことは耳にしたことのある人もいるでしょう。
交響曲を作り始めた1862年の29歳の時に、簡単な原型をクララに聴かせているんです。

またクララの誕生日には第4楽章のホルンの有名な旋律に「高い山・深い谷底から、私はあなたに何千回もの挨拶を送ります」と歌詞を付けて手紙を送っています。
さらに完成間近には自身の作ったピアノ版をクララに演奏しています。

クララへの友情愛は止まりません。
実は、先ほどの歌詞を付けた第4楽章のホルンの雄大なメロディには「ミーレード」とクララへの呼びかけメッセージが込められているのです。

クララのこの曲への印象はあまり良くなかったようですが、こうして当時のブラームスのクララへの心境を思うと、より一層交響曲の感じ方が深くなって面白いポイントですね!

ブラームス交響曲第1番:編成・構成

楽器編成…フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット1、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、1st・2ndヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス

第1楽章…Un poco sostenuto – Allegro・ハ短調(c moll)・6/8
第2楽章…Andante sostenuto・ホ長調(E dur)・3/4
第3楽章…Un poco allegretto e grazioso・変イ長調(As dur)・2/4
第4楽章…Adagio – Più andante – Allegro non troppo, ma con brio – Più allegro・ハ短調ーハ長調(c moll – C dur)・4/4

演奏時間…約45〜50分
初演…1876年11月4日・フェリックス・オットー・デッソフ指揮・カールスルーエ宮廷劇場(初稿版)、決定稿は1877年に演奏

ブラームス交響曲第1番の「楽章」に隠されたパズル

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楽章の調性

ブラームスの交響曲第1番は第1楽章がハ短調(c moll)→第2楽章ホ長調(E dur)→第3楽章変イ長調(As dur)→第4楽章ハ長調(C dur)と進んでいきます。
実は長3度ずつ、つまり半音で4つの音ずつ移動していることにお気付きでしょうか?
古典派までは親近調の属調や平行調を中心に楽章で変わっていましたが、手法が色々と試されていますね。

ブラームス交響曲第1番:第1楽章 Un poco sostenuto – Allegro・ハ短調

ブラームスはイン・テンポがお嫌い?

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ブラームスのテンポ

ブラームスはベートーヴェンを尊敬していたことは今まで話に出てきましたね。
詳しい方は知っているかもしれませんが、ベートーヴェンはメトロノーム記号をよく使っていました。
でもブラームスは数字で速度記号を書き込むことに関しては反対派だったと有名です。

昔ブラームスが自分の曲をイン・テンポ(一定の速さで演奏されること)でずっと演奏されたことに腹を立て、「もう帰る!」と演奏中に帰ってしまったという逸話が残っているんです!
きっと音楽は生き物であると考えていて、その時々でテンポは揺れるのが自然なものと感じていたのでしょうね。

半音ずつ「上がる」&「下がる」

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第一楽章

冒頭から、いきなり総動員での大音量からスタート。
ティンパニとコントラバスのCの連打が重々しく、心臓がバクバクと打っている音のように聞こえてインパクト絶大ですね。
ハ短調から始まる第1楽章。ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」もハ短調です。綿密に考えられた交響曲の最高峰「運命」を意識して、同じ調から始めてみようと思ったのかもしれません。

バイオリンとチェロの上行形に反抗して、管楽器とヴィオラが下行形で半音ずつシフトしていきます。
同じドの音から始まったのに、なんだか仲を引き裂かれてしまうような気持ちになります。

「ドード♯ーレー」という半音で作られる流れはモチーフ(動機)といい、これから色んな場所に出てくるのでチェックしておきましょう!
何だか半音は気持ち悪い感じがして、苦悶の表情が浮かびあがってきますね。やはり相当に作るのに苦労したのでしょうか。
なかなかメロディーらしきものはなく、ロマン派と呼ばれるだけありますね。

3音のモチーフ&怒りと憂い

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第一楽章

8小節目でギューッとエネルギーが凝縮して緊張が高まり、木管楽器が慰めるか憂いを感じるかのように歌い上げます。
弦楽器のピチカートが3つずつ=モチーフがここにも出ていますね!

そうして木管が落ち着かせながらも、またハ短調へと戻ります。
アルペジオが二倍の速さとなり、25小節目で最初の半音階のテーマがドーンと出てきます。
この苦しさが凝縮されたテーマは、混乱した気持ち悪さを作っていて古典派の形式を受け継ぐといわれているブラームスですが、まさに新しいロマン派の交響曲ですね!

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第一楽章

その後うねうねと跳躍したメロディーがフルート、オーボエ、チェロなどのパートによって代わる代わる続きます。まるで何か色々な想いが混ざって訴えかけるかのようですね…

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第一楽章

エネルギッシュな第1テーマ

Allegroに入ると木管の半音のモチーフとともに力強い「怒り」へ変わり、1stヴァイオリンが第一テーマを奏でます。
ちなみに写真の赤い小節はなくても良さそうと思うかもしれませんが、この弦の音があることによって次のフォルテッシモが劇的な効果となって活かされるのです。
内声とバスにも注目!モチーフの1つである「3つのリズム」と「半音」が至るところに出てくるので、ぜひ見つけてみてください。

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第一楽章

これは63小節目からの部分。8分の3拍子なのに2拍子に聞こえたり、後拍にアクセントや重さが来て頭拍がよく分からなくなったり…と一筋縄ではいかないのがブラームス。
同じ音がffでもう一押しするところが重たさを感じますよね。

かけ合いが美しい!第2テーマ

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第一楽章

130小節目から第2主題の始まりです。
木管とホルンのかけ合いが美しいですね!

クララへの呼びかけが音形に!

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第一楽章・クララの音形

157小節目のヴィオラの「ソ♭ファミ」がつながり、161小節目から再び激しい動きになっていきます。

この3つの音はブラームスの交響曲第1番には色々なところに出てきますが、「クララのテーマ」などと呼ばれています。
ブラームスがクララと生涯の友達だったことはすでにお話しましたが、その旦那さんのシューマンがピアノ協奏曲でクララへの呼びかけをテーマにした音形が冒頭に出てきます。
クララは”Clara”と書きますが、”CHIARINA”とも呼ばれていました。
すると「C・H・A」=「ドシラ」が浮かび上がってきますね!

この3つの下行形の音を少し変えて色々な場所にブラームスは表現して、クララのモチーフとしているんです。音楽家は様々なところにこうした想いや遊びを入れているので、見つけると楽しいですよ!

このように怒りと落ち着きが入り乱れて複雑な和音を奏でながら、音楽は哲学的な境地に至っています(495小節目のMeno Allegro)。
ハ短調からハ長調へ向かって終わる雰囲気、神々しさが感じられませんか?
それでも純器楽的な音楽であるブラームスの交響曲第1番は、鼻歌では歌いにくいですね笑
短いモチーフを精密に組み立てている音楽、というイメージです。

ブラームス交響曲第1番:第2楽章 Andante sostenuto・ホ長調

ホ長調はイ長調とともに「愛の調性」とも呼ばれています。穏やかで優しい雰囲気がこの調性の名前にぴったりですね。
ヴァイオリンのソロが出てくるのも見どころの一つ!
またオーケストラの規模が大きいのももちろんですが、分厚い内声に支えられて濃厚な音がするので贅沢な気分になります。

甘い響き!でも眠くなる人もいるかも…?

2楽章は和声が素敵で、甘く美しい響きにうっとりしちゃうような旋律。
しかしこれもまたメロディーというにはちょっと物足りない…。第1楽章と同様歌いにくいので、印象に残りにくく初めて聴くと眠くなってしまうかもしれません。

ちなみに一方で同時代に活躍したチャイコフスキーは、一発で人々の心を鷲掴みにするようなメロディーをたくさん書いていました。チャイコフスキーとブラームスは7歳違いで、なんと2人とも5月7日生まれ!
チャイコフスキーはもともとブラームスのことはあまり好きじゃなかったようで「魅力的な旋律がない」と批判していました。でも実際に会っておしゃべりをしたら、2人は意気投合して仲良しになったという逸話があります。

先入観で判断するなということですね笑

半音のモチーフ&折り重なる3種のリズム

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第二楽章

冒頭からヴァイオリンとファゴットがテーマを歌い始めます。
美しいのに迷っているような、物悲しいメロディーですね。
ここにも第1楽章に出てきた半音のモチーフが度々出てきます。

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第二楽章

続く弦楽器を見てみましょう。
1stヴァイオリンは付点音符のリズム、2ndは8分音符、ヴィオラは4分ですがチェロバスは3連符のリズムで折り重なっているのが分かります。こうした色んなリズムの絡み合いは、微妙にずれ合っているので、なめらかに一つ一つの音を大切に感じられます。そのような効果を狙ってブラームスも書いているのでしょう。

複雑に絡み合うことでとても繊細な和声でありながら、かつ3連符のダイナミックな動きが感じ取れると思います。

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第二楽章

39小節目のアウフタクトからオーボエのソロが歌い、クラリネットに引き継がれていきます。
弦のそよ風のような伴奏に乗って、遠くを見てささやくように感じられますね。優しさの中に、少し孤独な寂しさをにじませながら会話をしているみたいです。

ソロ・ヴァイオリンが歌う音色

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第二楽章

中間部からヴァイオリンのソロが始まります。ここでは絶対オーケストラと合うポイントや表現を指揮者と打ち合わせした後は、細かなアゴーギク(リズムの揺らぎ)はコンサートマスターが自由に決めて弾きます。
そして、つやのある音色で時には他の音色と一緒に歌いながら、最後は想いを彼方に届けるかのように高く舞い上って終わります。

ブラームス交響曲第1番:第3楽章 Un poco allegretto e grazioso

ブラームスは古典派を尊敬していたことは有名ですが、古典派にならえば第3楽章はメヌエットかスケルツォ。しかしそのどちらでもありません。

ブラームスは「間奏曲」が好きだったようで、ピアノ曲にたくさん残しています。第3楽章ももしかすると第1、2楽章の「混沌」と第4楽章の「光」の間に間奏曲として、気楽に聴けるものを取り入れたのかもしれないですね!

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第三楽章

第3楽章は一見するとのどかな曲調でスタートしますが、とっても幾何学的なんです。クラリネットに注目。弦によるフレーズの切れ目を境に、鏡のように上下逆さまの音形になっていますね!(赤と青の線)

メロディー自体はとてもシンプルで、何もないのどかな田舎のような風景が脳裏に広がってくるようです。

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第3楽章

木管楽器が音階を下っていく形で進めていきます。付点音符でスキップしているみたいでかわいいですね!
その裏では弦楽器がそれぞれ違う動きで装飾を付けていますが、合わせるのが難しいんです…

その続き、19小節目から今度はヴァイオリンが主体となって冒頭のメロディを奏でます。
しかし5小節ずつの鏡の音形だったのが、今度は7小節ずつに拡大しています。

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第3楽章

45小節目からは短調に。弦楽器がまるで違うリズムを刻むので異世界に来た雰囲気ですが、クラリネットのこの青で囲った部分は実は冒頭の「鏡」の箇所の音形と同じ。
やはり一貫して同じテーマが使われているんだなあと分かりますね。

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第3楽章

中間部の71小節目に入る前に、フライングして弦楽器がテーマを出します。管と会話するようにお互いが交互に演奏していますね。
第1楽章でも出ていましたが、ベートーヴェンの運命を匂わせる「3つのリズム」がここでも出ています。

その後トランペットも登場して豪華な盛り上がりを見せていき、急に再び短調になり、115小節目から冒頭が再現されます。この急激に暗くなる部分は毅然としているのに、一瞬で緩んでふわっと肩の力が緩むのが素敵ですね。

最後はチェロが落ち着かせるようにして幕を閉じます。

ブラームス交響曲第1番:第4楽章 Adagio – Più andante – Allegro non troppo, ma con brio – Più allegro

ブラームス交響曲第1番といえば、第4楽章が一番有名かもしれません。ホルンやその後に出てくるヴァイオリンのメロディがキャッチーでドラマ・アニメ「のだめカンタービレ」にも出てきました。
そんな皆さんお待ちかね(?)の第4楽章をさっそく見ていきましょう!

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第4楽章

冒頭は何とも暗く、ゆっくりとした音楽がずっしりと重いです。最初はつまらなくて、寝てしまうかもしれません。
でもどんな仕組みになっているかを知ると、きっと面白くなるはず!

なんと、この短い5小節ほどに3つものテーマが合わさっているんです。それらは他の楽章に出てきたものも。
ヴァイオリンは第4楽章61小節目から出てくるメロディーが短調で演奏されます。ブラームスに特徴的な強弱が活きていて、嵐の前の静けさみたいですね。ざわざわ…

チェロやヴィオラは全楽章でおなじみの音階で下がるモチーフが使われており、気味が悪い雰囲気を漂わせています。
木管は第3楽章のテーマのようなものが出ていますね。

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第4楽章

13小節目にも同じテーマが。こちらの方が長調になったフレーズで気づきやすいかもしれません!

弦楽器の緊迫したピチカートが終わった後、20小節目から木管はクララのテーマ(3つの音階で下がる音)が現れます。後のホルンのソロの予告ですね。
そして22小節目から上の図のような木管の新しいテーマが出てきます。これは148小節目のように弦楽器にも出てくるテーマです。

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第4楽章

ブラームスは音響的に面白い工夫もしているんです。24小節目のヴァイオリンは1stと2ndでリズムが違いますが、よく見ると交互に弾いていて重なっているところは同じ音。

「それなら一緒に全部16分音符で弾けばいいんじゃない…?」
「合わせるの難しいしやめてよ~!」
とヴァイオリン族の皆さんからは不満の声がある箇所で有名。しかし音響ではステレオ効果といい、左右にそれぞれ流れる周波数が微妙に異なるスピーカーを置いたように、立体的なサウンドになるんです。
ブラームスの時代はもちろんスピーカーは無い時代です。様々な工夫をしていたのですね!
一方でヴァイオリンは合わせよう!と神経をとがらせているため、緊迫した雰囲気も出るのかもしれないという説もあります笑

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第4楽章

勢いが強まっていき、ティンパニとともに落ち着いて80小節目からお待ちかね!
「クララ・シューマンに何度も聴かせていた」の章でお話しした通り、クララのテーマが「ミーレド」で表れていて呼びかけていますね(楽譜はin C・ト音記号)。
ホルンのソロです。アルペンホルンの音色をイメージしているといわれており、手紙に乗せてクララへの想いと、滞在していたアルプスの雄大な景色を届けたのですね。なんとこの日は1868年9月13日、クララの誕生日!とってもロマンチックですね。

ブラームス:交響曲第1番の解説!構成や特徴を楽譜とともに徹底分析

第4楽章

ホルンが弦のさざなみと共に止むと、61小節目から弦の豊かな合奏が始まります。ここも第2のメロディと呼べるほど有名な旋律として知られています。

ベートーヴェンの第九(交響曲第9番)「歓喜の歌」と和声とフレーズの両面でかなり類似した構成となっており、ブラームスがいかにベートーヴェンを意識していたかが分かると思います。ベートーヴェンへのオマージュで作ったともいわれています。

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第4楽章

94小節目からはanimatoの指示があるように、生き生きとした音楽でこのメロディが発展していきます。ところどころsfで4つの音が連なっている箇所は印象的。全楽器が一斉に一つになるんです!ベートーヴェンの運命冒頭「ダダダダーン」のリズムをモチーフに第1楽章から引き続き取り入れているのでしょう。

ちなみに242小節目の木管楽器などにもあるんです!
102小節目からは勢いマックスのまま、下行形のモチーフがたくさん発展しています。

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第4楽章

その後は前半が繰り返され、259小節目のフーガなど技法も取り入れながらコーダ(終結部)へ向かいます。ここで1つ興味深い部分が。268小節目の音形は木管楽器とホルンが一緒の動きを吹きますが、ホルンはすぐに離脱してしまいます。ホルンは当時ウィンナーホルンを使用していて、現在のようにヴァルブが発明されていなかった影響だといわれています。そのため物理的に出ない音があったのです。「ブラームスは木管と同じように吹かせたかったはず。」そう意思を汲み込んで後世の指揮者はブラームスが書いたスコアを変更してホルンに木管と同じリズムで吹くように指示しています。

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第4楽章

367小節目からはコーダ。神秘的な何かを感じさせる響きがあり、急激に再び盛り上がります。391小節目のpiu allegroから一歩ずつ歩みを進め、華々しく終わりを迎えます。

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まとめ

ブラームス交響曲第1番はクララやベートーヴェン、楽器のエピソードもたっぷりあって、背景を知れば知るほど魅力的な曲ではないでしょうか。「のだめカンタービレ」で知ったという方も、今度オーケストラで演奏するんだ!という方も、より深く知りたいという方もぜひこの記事を読んでブラームスの世界にどっぷりと浸かってみてください♪

 

 

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