
なぜオーケストラはヴァイオリンだらけなの?
そんなにいらなくない?
それでは謎を解明していきましょう、スタートです!
オーケストラの編成と人数(編成表)
人数の謎を解いていく前に、基本的なオーケストラの編成と楽器の種類をご紹介します。
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オーケストラはなぜ同じ楽器がたくさんいるの?ヴァイオリンなどの弦楽器が多い理由を大公開!編成
青:打楽器黄:金管楽器緑:木管楽器オレンジ:弦楽器
オーケストラは弦・金管・木管・打楽器で構成されていて、作曲家や曲によって楽器の種類や数が増減します。
上の画像は一般的な編成のオーケストラです!
並び順も指揮者の好みやホールの響き方によって変えることがあります。
弦楽器は第1ヴァイオリン・第2ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスがあります。
第1ヴァイオリン10人・第2ヴァイオリン8人・ヴィオラ6人・チェロ4人・コントラバス4人が平均的です。弦楽器は微妙な数の違いで致命的な問題になることはないので、大体この人数なんだなーくらいに思ってくださいね!
木管楽器はフルート・オーボエ・クラリネット・ファゴット、それぞれ2人ずつが平均。
時にピッコロやコーラングレ(イングリッシュホルン)、バスクラリネットやコントラファゴットなどが登場します。逆に登場しない楽器がある曲目もあります。
金管楽器はホルン2~4人・トランペット2人・トロンボーン1~3人・チューバ1人が一般的。
こちらもチューバがない曲や、そもそも金管楽器ではホルンしかいない曲もあったりします。
打楽器はティンパニを始め、グロッケンやスネアドラム、トライアングルなど様々な楽器があるので、使う楽器に合わせて必要な人数を調節します。
まとめると弦楽器は30数人、木管は8人、金管8人、打楽器数名程度です。
やはり弦楽器はダントツで人数が多いですね!
ヴァイオリンが多く見えるからくり~ヴィオラの存在!~

オーケストラはなぜ同じ楽器がたくさんいるの?ヴァイオリンなどの弦楽器が多い理由を大公開!バイオリン、ヴィオラ
今まで見てきた通り、ヴァイオリンは他のチェロやコントラバスと比べて人数が若干多いことがあります。
第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの違い
「第1ヴァイオリン」と「第2ヴァイオリン」の違いはご存じでしょうか?
オーケストラではただ「ファースト」「セカンド」と略して呼ぶことが多いこの名称。
これはパートの違い。つまり第1ヴァイオリンは全員同じ楽譜を見て同じように弾きますが、第2ヴァイオリンはまた別の楽譜があってそれを弾いているのです。
パート内は同じ動き!(ボーイング)
オーケストラを見ると弦楽器はよく動いているように見えますよね。
しかも同じパート内で右手の弓の動かし方は一緒。みんな同じ動きをしています。
これは自然とそうなっているのではなくて、あらかじめ弓の動きを決めているのです。この右手の動きを「ボーイング」と呼びます。
だからこそ一体感のある演奏が出来ると同時に、人数が多く見えるのかもしれませんね。
ヴィオラはヴァイオリンではない!
オケをあまり知らない友達によく言われるのが、

チェロとコントラバスは少ないのにヴァイオリンが3分の2占めてるね!笑

ヴィオラってちょっと大きいヴァイオリン?
ヴァイオリンと同じじゃないの?
違います!ヴィオラの存在を忘れないでほしいです泣
ヴィオラとはたしかにヴァイオリンよりもちょっと大きいだけなので、数メートル離れると同じ楽器に見えます。
しかしれっきとした楽器の一つで、チェロやコントラバスと同様に重要なパートとして活躍します。
音域はヴァイオリンよりも5度低く、深みのある音色が特徴的な楽器なんです。
このような理由からヴィオラもヴァイオリンとして数えられ、いっぱい人数がいるように感じられるのですね。
弦楽器が多い理由①音量の違い

オーケストラはなぜ同じ楽器がたくさんいるの?ヴァイオリンなどの弦楽器が多い理由を大公開!チェロ
弦楽器が多い理由その1に、音量の違いがあります。
金管楽器、木管楽器は音量が大きいですが、それと比較すると弦楽器は小さめなのです。
ティンパニなど・パーカッション | 120db | 飛行機のエンジン音 |
サックス・トランペット | 115db | |
ピアノ・ピッコロ | 110db | 車のクラクション |
ホルン・トロンボーン | 105db | 叫び声 |
クラリネット・オーボエ | 100db | 地下鉄の駅構内 |
フルート | 95db | |
ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロなど | 90db | カラオケ・犬の鳴き声 |
弦楽器は最大限の大音量で演奏すると90dbほど。アマチュアが演奏するとさらに音量は下がります。
でも小さめと言ってもカラオケや犬の鳴き声くらいの音量はあるので、けっこううるさいですね。
金管>木管>弦楽器の順に音量は下がるイメージ。
弦楽器の人数が多い理由の1つは、音量のハンデを無くすためです。
多彩な音を奏でようとすると、楽器の種類は増えて必然的に音量は大きくなるもの。それを人数でカバーしているのですね!
ちなみにピッコロは音が高い上にうるさいので、第2ヴァイオリンの後ろに座る時は要注意。よくびっくりしてピッコロ奏者をにらみつけるヴァイオリニストがいます笑 ピッコロの方はご愁傷様です。
弦楽器が多い理由②人数が多いと音色が変わる?!
弦楽器が多いのは、大きな音を出すことだけが目的ではありません。
1人で弾くヴァイオリンと、オーケストラや弦楽アンサンブルのヴァイオリンパートを聴き比べると音色が変わるのをご存じでしょうか。
有名な「パッヘルベルのカノン」で聴き比べてみましょう!
【ソロ】
【合奏】
一言でいえば、ソロははっきりした艶やかな音色、合奏は何枚もの層が重なったような複雑な音色になるのが分かると思います。
さらにオーケストラではPPP(かなり小さく)からffff(かなり大きく)まで幅広い音量差を出します。
小さくするのは木管楽器でも難しいもの。弦楽器は弓と弦の「擦れ」によって音を出すため、風がそよぐようなカサカサ…として極限まで小さく繊細な音を奏でることが可能なんです。
もちろん際立たせたい音や出したい音色があれば、それに応じてオーケストラや弦楽アンサンブルでもソロやdiv.(ディヴィジ)として1人や少人数で弾くこともあります。
②小さな音や繊細な音も出せる
おまけ:2~4人ずついる楽器は「パート」が違う!
ちなみに最初の目次で木管楽器や金管楽器が2人ずついることが多いとお話しました。
例えばフルートが2人、オーボエ2人…といったものですね。
これはフルートが2人とも同じ楽譜を演奏するわけではありません。
フルート内で「第1フルート」「第2フルート」などと分かれていて、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ…というパート分けと同じようになっています。
つまり同じ楽器・同じ音色だけど吹く音は違う!ということです。
一緒にハモったり、片方休んだり、時には同じ音を吹くこともあります。
ただし壮大な曲や編成の大きな曲の場合は2人で同じパートを演奏することもあります。吹奏楽はかなり大人数なので複数人で吹いていますね!この場合も弦楽合奏のように、ソロよりも音色の変化が起こります。
まとめ
ヴァイオリンなどの同じ楽器が多いのは、音量の問題や音色の変化など、様々な理由が潜んでいることが分かったのではないでしょうか?
小学校の頃から合唱を授業で習いますが、1人で歌うのとは全く音が変わるもの。
人数が変わると音楽の幅が広がってとても楽しいですね!
ぜひ、楽器の数にも注目して曲を聴いてみてください♪