失敗しないヴァイオリンの選び方を徹底解説!知って得するポイント

ヴァイオリンの選び方を注意点とともに詳しく紹介!初心者から上級者まで知って得するポイント ヴァイオリンのあれこれ
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こんにちは!ヴァイオリニストのcocoです。ヴァイオリンを買う時ってドキドキしますよね。
安いものでも数万円、良い物を買おうとしたら数百万、下手したら数千万円もかかる大きな買い物。選ぶのに失敗が怖くて1年以上悩んでいる人も見かけます。

coco
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選ぶのはたしかに難しいね。でも選ぶときのポイントがあるから知っておくと安心だよ!

今回は音大卒業のヴァイオリニストである私が、ヴァイオリンの選び方と失敗リスクを最小限に抑えるポイントをご紹介します!初心者は特に、上級者も必見です。

選ぶ前に!知っておくべき基礎知識

弓も一緒に買おう!ヴァイオリンを決めてから弓を選ぶのがおすすめ

「今日はヴァイオリンを買って、弓は後日買おう~」と思っている方はいませんか?
弓がないとヴァイオリンって演奏出来ないんです!(ピチカートなら話は別ですが笑)弓は必須。なので初めてヴァイオリンを買う場合は弓も一緒に買いましょう。通常本体と弓は別々に売られています。

選ぶ順番は、ヴァイオリン本体→弓を決めるのがおすすめです。

なぜなら本体の音色や質を最優先で決めるべきだからです。弓は初めは安いものでも大丈夫ですが、本体は高いのですぐに買い替えは出来ません。時間があるうちにじっくり決めましょう。
また若輩者ながらに、経験的に弓に合うヴァイオリンを探すのは難しいなあと感じます。

製造方法でランクが変わる

よく管楽器や打楽器奏者が「その楽器、どのメーカーなの?」とわいわい話しているのを見たことはありませんか?
私は音大の「楽器指導法」という授業で自分の専攻楽器の紹介をする回があったのですが、項目に「メーカー」とあって困った経験があります。「弦楽器は一点ものなんだけどなあ」と困った弦楽器の学生たちの顔を見せてあげたいです。

そう、実はヴァイオリンは値段が高いほど、メーカーという概念はあまりありません。もちろんヤマハ、スズキなどのメーカーや品番は存在しますが、一般的なのは職人さんが手作りした世界に1つしかない楽器なのです。

製造方法によって価格帯やランクが変わるのでご紹介します

①大量生産品
機械によって作られた楽器です。分厚い板から削り出すのではなく、板に熱を与えて変形させて作るため自然と元に戻る力が働き、時間とともに破損しやすくなります。安価なヴァイオリンが多いです。

②機械+一部手工で仕上げたもの
半手工品と呼ばれるヴァイオリン。基本的な部分は機械で、仕上げを手作業で仕上げたものです。6万円あたりの価格帯から見かけるようになります。③手工品
職人さんが全て手作業で手掛けたヴァイオリン。通常、数十万円でないと見かけません。手間がかかっているので良い音がしやすく、響きます。工房によっては見習いの職人さんが作ったものを10万円など安価で売っていることもあるそうです。

中古品とオールドヴァイオリンの違い

オールドヴァイオリンと中古のヴァイオリンって一緒じゃないの?

全然違います!

オールドヴァイオリンと呼ばれるものは、ヴァイオリンの中でも1800年初頭以前に作られた楽器を指します。
一方、中古のヴァイオリンは一般的に人が使った後の楽器を指します。

オールドヴァイオリンがヴィンテージの高級家具、中古品は2000円くらいの家具がお得にハードオフに売っているような感覚ですね。なら見分け方は値段で見れば簡単じゃん!と思うかもしれませんが、それは全くの間違い。見分け方が難しい理由を説明します。

①値段がはっきり線引きされていない
②人によっては中古品をオールドと表現することもある

まず値段が様々で、それぞれ比較的良い中古品もあれば、反対に悪いオールドヴァイオリンもあります。後程詳しくご紹介しますが、もともと良いオールドヴァイオリンだったけど状態が悪いため安くなっていることも。そのような楽器はオールドではなく「ただの古い楽器」になってしまうんです!

人によっては中古品も「この楽器はオールドなので~」と表現するのも難しい点。この前リサイクルショップにあったヴァイオリンをなんとなく眺めていたら、ある店員さんがこう表現していました。でもラベルには案の定がっつり1990年代の表記が。初心者は「オールドってことは良い楽器なのでは?」と勘違いしやすいので注意しましょう!

ヴァイオリンの選び方

①予算から価格帯を絞って選ぶ

初心者におすすめの選び方

・3万円~20万円(全くの初心者なら1万円もあり)
・作りや木材の丁寧さで選ぼう
・音量が大きいとなお良し

安いヴァイオリンだとネットでは1万円以下もありますが、駒が倒れた状態で届くことがあるためおすすめ出来ません。かえって設置費用や修理代が高くつくことがあるため、3万円以上が安心です。(駒の大切さについてはこちらの記事をご覧ください。制作中)

この価格帯はほとんどが工場で大量生産されていて、人工接着剤やプレス機を使用しています。そのため経年劣化が激しいので作りの丁寧さは最優先で選びましょう。また「あご当てやテールピースは高級素材を使用!」と宣伝していることもありますが、後で交換可能な付属物よりも木材を重視するのがおすすめ。

初心者は特にレッスンに通う場合やオーケストラで活動する際、「音量が小さい」と注意されて無理に圧力をかけて変な癖が出る恐れがあります。(はい、昔の私です。笑)音量が出ない楽器はもうそこが限界。あらかじめ音量の比較をしてから買うと後々上達にも良いですよ!

初心者向けのメーカー

今回は国内の安心おすすめメーカーを2つご紹介!

ヤマハ
ヤマハは言わずと知れた有名楽器メーカー。ヴァイオリンなど弦楽器も数多くそろっています。中国の工場製ですが、手作業で検品されており安く費用が抑えられているので初心者にも安心出来ます。
下は商品の一例。レンタルも出来るので気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか!

ヤマハ公式サイト

スズキヴァイオリン

スズキ(Suzuki)は国産初のヴァイオリン製作メーカーとして有名で、最もよく見かけるメーカーの一つです。学校の部活や体験レッスンで使用している教室も多いですね!
グレードが品番「No.」で管理されています。私も体験レッスンで使用したことがありますが、品番を良く選べばしっかりした音量が出ました。さすが老舗、丁寧に作られていて安心できると感じます。

スズキヴァイオリン公式サイト

中級者におすすめの選び方

・20万円~80万円
・音色や遠鳴りするかどうかチェック
・手触り

数年経ってヴァイオリンがある程度弾けるようになってきたら、金属的でおもちゃのような音色に満足できないはず。中級者は、より良い音色を求めてグレードアップするのがおすすめです。半手工品や全てが手工品のものが多くなってきます。

この頃には自分の好みの音色が出てくるはず。たくさんの選択肢から選べるようになるので、ぜひ音色や客観的な響き方に耳を傾けてみてください。手触りについてはまた後述します!

上級者におすすめの選び方

・80万円~数千万円
・高額なものは鑑定書の有無をチェック&よく読もう
・音色と響き方にこだわりまくろう
・メンテナンス状況

価格帯広すぎ!これじゃわかんないよ!

 

はい、まとめてしまいました。ごめんなさい。笑 もっと詳しく値段による分類が知りたい方はこちらの記事をご覧ください!

https://classic-love.com/violin-price/

アマチュアの上手な人や音大生、プロは100万円単位の楽器を使用しています。中には数千万円の楽器を使用している人もいるから驚きますが、無い袖は振れないので自分の予算から選びましょう。

音色にこだわってほしいのはもちろんですが、高額ヴァイオリンになるとチェックしてほしいのは鑑定書。楽器の中のラベルは偽物の場合も多いので信用してはダメですよ!
鑑定書があれば安心…ともいえません。鑑定書はイタリア語、フランス語など外国語で書かれていますが、相手が読めないだろうと足元を見て、外国の制作側が適当な鑑定書を書いている場合もあるんです。偽物にひっからないように鑑定書はよく読みましょう!

メンテナンス状況については詳しく後述します。

②体に合うサイズのヴァイオリンを選ぼう

ヴァイオリンは子供用のサイズは1/16・1/10・1/8・1/4・1/2・3/4、大人用は4/4と分かれています。
目安として、身長が145cmあれば大人用(4/4、4分の4と読みます)を使用してOKです!

しかし演奏で実際に大きく影響するのは手の大きさ。あまりに小さく、「練習しても小指が届かない」「手が開かない」という方はレディースサイズの7/8もあります。ただし選択肢の幅が狭まるので、できれば通常のサイズを使用したいところですよね。

私は実は幼稚園児にも負ける小指の短さ!!
レディースサイズを買う前に、ぜひこちらの記事をご参考に。(制作中)

そして4/4でも数ミリ単位で微妙な個体差があります。指板の長さ、ネックの太さ、触り心地、重さ…実際に構えてみるとけっこう大きな違いがあるものです。
ぜひ試奏してしっくりくるものを選びましょう!

③なるべく試奏して選ぼう

お店で正規で売っているものは大体8万円以上。安いヴァイオリンはネットで買うしかありませんが、それ以上のものは店で試し弾きをしてから買いましょう!触り心地や音色など納得して選びたいですよね。

ヴァイオリン未経験ならお店の人に代わりに弾いてもらうのがおすすめ。工房の方はもちろん、販売員も音大出身者が働いている場合が多いので嫌な顔ひとつせず弾いてくれますよ!
「下手だから恥ずかしい!」という人も大丈夫、店員は日常茶飯事なので慣れています。どうしても気になるなら、試奏室がある大きな店に行くのもありですね。

④音色によって選ぶ

音色はヴァイオリンを選ぶ要といっても過言ではありません。
買い替えるタイミングは音色や音量、響き方が気に入らない時なので、失敗しないようによく吟味して選びましょう。

明るい曲やしっとりした曲など、色々な曲を弾いてみると表現の幅が出せる楽器か見極めることが出来ます。

⑤初心者はセットなら安心

よーし、ヴァイオリン買えた~!エコバックに入れて持って帰ろう!

こんなおバカさんはいませんよね!笑 ヴァイオリンは本体の他にケース、弓、松脂、肩当て、クロスなど様々な付属品が必要です。初心者の方は選ぶのが難しいため、最初からセットになっているものを選ぶと便利で安心です。

例えばこんなもの↓

こちらのセットはスマホでも見られる動画と教本、譜面台も入っているので届いてすぐ始められますね。

たったの30分で弾ける!初めてのヴァイオリンレッスンDVD1弾〜3弾【楽器セット】

⑥20万円以上ならぜひ手工品を

本格的なヴァイオリンを検討するなら、ぜひ人の手で最初から最後まで作られた楽器をおすすめします。手工品って深い音が出るんです。

そして大きな楽器店ではなく、小さくても良いので個人の工房へ行くといいですよ!特に工房の手作りだと、作った人から直接どんな特徴があるか教えてもらえます。メンテナンスやアフターサービスも手厚いので、しっかり長く使うことが出来ます。
製作の方法も全て本人が知り尽くしているため、音色の調整も細かくしてもらいやすいです。

有名なヴァイオリン製作家

ストラディヴァリウスを作ったアントニオ・ストラディヴァリの他にも一度は弾いてみたい、人類の宝レベルのヴァイオリンを作った製作家は数多くいます。

・ストラディヴァリ
・アマティ
・ガルネリ
・ガダニーニ
・ロッカ
・プレッセンダ
どれも超お高いですが、国際コンクール優勝者が貸与されて現在も弾いています。一流のヴァイオリンの音色を聴く機会があればぜひ!

注意するべきポイント

①素材

「綺麗な模様のヴァイオリンの方が良い音がしそう!」と思っていませんか?

これは嘘。裏板の杢(もく)のきれいさや1枚板か2枚板かどうかは音色とは関係がありません。さらには、同じ生産地の材木でも日陰か日当たりの良いところかによっても異なるし、1本の同じ木でも部位によって同じ材質はなくそれが大きな差になって現れます。

パーツの素材にも注意。あご当てやペグ、テールピースは交換可能なのですぐにこだわる必要はありません。むしろ、パーツにツゲなどの高級素材が使用された安い楽器は本体がめちゃめちゃ低品質の可能性があるので疑ってかかりましょう。

②試奏を人に聞いてもらおう

ヴァイオリンはとても空間が大切な楽器。自分で弾いた時は大きな音がすると思っても、遠くにいる相手まで音が届かないことがあります。また、弾くのに夢中で客観的に聞くことが出来ていない可能性も。
正しく判断するためにもできれば先生、またはご両親や友達でもよいので付き添ってもらいましょう!

③楽器屋の試奏室には注意!

試奏室へご案内しますよ~ごゆっくりお弾きください!

と案内される試奏室。実は上記の理由と同様に、音を正しく聞けない原因になるので注意したいポイントです。試奏室は小さな部屋で壁が反響しやすいため、音が自分に跳ね返るので上手に響いて聞こえてしまうんです。
「上手ならいいじゃん!」という声が聞こえてきそうですが、実際に自宅や広い場所で弾くとこんなはずじゃなかった…とがっかりする危険も。

私は実際に経験したことがあります。店の戦略もあるかもしれませんが、店員さんはあくまでプライベートな空間を作ってくれただけで誰も悪くないんですよね。泣き寝入りする前に注意!

④オールドヴァイオリンはメンテナンス状況を確認!

ここではオールドヴァイオリンは「古い年代に作られた楽器」としてお話します。オールドヴァイオリンは年月が経ち木材がよく乾燥しているため、音色が良く価格が高くなりやすいのが特徴です。

しかし古い分、保管状態が良くないと販売するにあたり修理が大変になります。多額の修理費用がかかった結果、上乗せされると…本来質の良くない安めのオールドヴァイオリンなのに高い価格で売られていることがあるんです。
値段と年代を見て「高くて古いなら良いヴァイオリンのはず!」と判断しないように!

⑤弓の購入代も念頭に置いて決めよう

弓の購入金額の目安は、ヴァイオリンの3分の1から半分の値段がおすすめ。ヴァイオリン本体にお金をかけたい場合は、最悪間に合わせで数千円の弓でも大丈夫。無いよりはあった方が練習できます。笑
しかしなるべくなら本体と弓はどちらも予算の計画を立ててから買いに行きましょう!

ヴァイオリンを選ぶのが難しい理由

①価格と音色の良さが比例しないこともある

例えば電子ピアノの価格は、音質と機能とブランド力でおおよそ決まり比例します。でもヴァイオリンはオールドヴァイオリンの項目で触れたように値段と品質が釣り合わないことが多く存在するのが、選ぶのを難しくしている要因の一つ。中級者向けのヴァイオリンであっても、50万円の楽器よりも工房で作ってもらった10万円の楽器の方が格段に良い音色がするなんて事例もあります。
また、仕入れる人の目利きの良さも重要です。

②膨大なメンテナンス料金が価格に上乗せされている場合がある

オールドヴァイオリンや高級ヴァイオリンによく見受けられますが、メンテナンスや修理費用が楽器の半分以上占めていることがあります。ただの平凡な古いヴァイオリンなのに高い楽器として売られていたら、良さそうと思ってしまうのが人間の心理。

③骨伝導で客観的な音色が分かりにくい

骨伝導とは、体内部を通って聞こえる音の振動のこと。例えば自分の声を録音すると、普段自分で聞く声と異なって聞こえますよね!

ヴァイオリンもあご当てや鎖骨に触れているため、体を通った音も同時に聞いているのです。そのため、他の人が聴く音色と異なっている可能性大。録音して聞いてみたり、付き添って聞いてもらって客観的な判断をしましょう。

まとめ

今回はヴァイオリンの選び方と注意点をまとめてご紹介しました!

初心者の方はぜひこちらの記事も参考にしてください。おすすめのヴァイオリンや店もご紹介しています。

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