オーケストラや室内楽、コンクールに出演する時、男性はどんな服で行けばいいのかと1度は迷った経験はないでしょうか。
スーツで行けば間違いなし!と思いきや、演奏会で着る服には「燕尾服」や「タキシード」もあるんです。
スーツやネクタイの色、蝶ネクタイなどもTPOに合わせて選べるようになりたいですよね。
この記事ではそんな大事な本番で着るべき男性衣装をご紹介していきます!
数々の演奏会に出演してきた私が、男性が何を着ているのか経験談も交えてお話していきます。
こちらの記事では男性演奏者の服装を紹介していくので、女性の方はこちらをぜひご参考にしてくださいね。
男性の本番衣装はスーツ・タキシード・燕尾服の3種類!
・タキシード
・燕尾服
この中から場に応じて服装を選びます。
スーツは必ず必要になるので、学生の方も「入学式で着たけどもういらないやー」と捨てないように気をつけましょう!
意外と知らないのがタキシードや燕尾服の違いですね。
見た目も真っ黒なので女性の私からすれば何が違うのか謎ですが、気になるので調べてみました!
そもそもスーツ・燕尾服・タキシードの違いは?



左はスーツ・真ん中は燕尾服・右はタキシード
【スーツ】
スーツとは英語で”suit”。皆さんご存じサラリーマンが着るあの服です。
スイートルームの「スイート」と同じ語源で「ひと続きの」という意味があります。
つまりスーツはセットアップと同じように上下セットの服、ということなんです。
セットアップはカジュアル、スーツはジャケットのフォーマルな服装のイメージですね。
そこから生地や売り方など様々な違いが付いて、今の日本のスーツの意味になったようです。
【燕尾服】
燕尾服は後ろが長く、前が短いタイプのジャケットです。後ろは先が2つに分かれています。
後姿がまるで「つばめの尻尾」のように見えることからこう名付けられたそうです。
前はスーツよりもかなり短いため、白い腹巻(カマーバンド)か白いベストを中に着ます。
欧米では夜の正式な服装。日本では昼間も着るそうです。
【タキシード】
タキシードはスーツよりも丈が長く、かつ燕尾服とは違って前後の長さが同じものです。
襟が幅広のものが多く、光沢感があります。
着用時は中に黒い腹巻(カマーバンド)をします。
こちらも欧米では夜の正装ですが、やや燕尾服より簡易的なイメージの服です。
ヨーロッパの昼間の演奏会では通常のビジネススーツかモーニングコートを羽織るのですね!
スーツ
スーツは上の写真のようにサラリーマンが着用する服と同じです。
ただし演奏会では上下真っ黒な黒いスーツであることに注意しましょう!
よくある、目立たなくてもストライプが入っているものや紺色などはNG。
灰色などもアウトとみなされることが多いので、正式な演奏会では黒のスーツを着ます。
「スーツ着用」などと指定される場合は原則黒なのです。
シャツは青やピンクなどではなく、真っ白なシャツを着ましょう。
外国では黒シャツをよく見かけますが、日本では白シャツが圧倒的に多い印象です。
ネクタイの指定はありませんが、慣習では銀色のネクタイが演奏会で正式なものとされています。
グレーではなく、つやのある銀色です。全員で色を統一する場合もありますね。
どのような柄や色でもOKですが、不安がある場合は銀色のネクタイ、無い場合はグレーのネクタイを1本持っておくと安心ですね。
次はスーツの着方について!
原則はボタンは何個付いているものでも構いませんが、1番上のボタン、または上の2つのボタンを留めるのが通例。
また、前が重なっているダブルタイプのスーツもありますが、演奏中の動きでダボっとしてだらしなく見えることもあります。
普通のシングルタイプを皆さん着ているので、シングルがおすすめ!
ただし、動きやすさの観点からボタンは留めずに全開で演奏することもあります。
オーケストラや室内楽では周りの人に合わせてボタンを留めれば良いと思います。
夏はネクタイもせずに、シャツのボタンを開けるという指定があるときも。
真っ黒スーツ(シングルがおすすめ、ボタンの数は不問)・ボタンは留める・白シャツ・ネクタイ(色は不問、銀色がおすすめ)
【ときどき指定がある】
スーツのボタンは留めない・黒シャツ・銀色またはグレーネクタイ・ネクタイ無し
燕尾服
燕尾服は後姿が特徴的。指揮者がよく着ているので、見たことのある方は多いのではないでしょうか?
後ろの裾がつばめのしっぽのように2つに分かれています。
私は燕尾服というものを知るまで、どうしてあんなに長いスーツなのか欠陥品なのかと不思議で仕方ありませんでした(笑)
燕尾服は最も格調の高い、正式な服装で、王族のパーティーでも使用されています。
演奏会でもプロオケやオペラでは必須の服装です。
演奏者が必要なときは事前に全員に指定される場合が多いので、エキストラであっても用意しましょう。
シャツは白。
通常のYシャツではなく、ウィングカラーシャツという襟の先が折れたシャツを着用します。
結婚式でも着る機会があるものですね。
もし持っていない場合は、普通の白いYシャツでも大丈夫です。
シャツの上には白いベスト、または白いカマーバンドを着て、さらに燕尾服を羽織るという形です。
胸元は白い蝶ネクタイが必要です。
普通のネクタイや黒蝶ネクタイはNGなので気をつけましょう!
演奏会以外では黒蝶ネクタイを使用しているシーンもありますが、こちらは本来使用人のようなスタイルだそうです。
燕尾服はボタンは留めずに着ます。
タキシード
タキシードは燕尾服ほど正式な服装ではなく、外国では夜に着る簡易的な燕尾服といった位置づけにあります。
スーツ<タキシード<燕尾服
の順で位が高くなっていきます。
演奏会で着用するときは黒のタキシードを選びましょう!
日本では夜だけでなく、昼も着用することがあります。
場所によって燕尾服を、またはタキシードを指定されたりしますが、タキシードも燕尾服同様に「きちんとした演奏会でたまに必要」という場合が多いようです。
タキシードは立っている時はボタンを閉め、座る時は開けるのが習わし。
これは生地が引っ張られるのを避けるためでもあります。
演奏家は動くので、皆さんボタンは留めずに着用します。
シャツは燕尾服同様、白のウィングカラーシャツ、または白のYシャツです。
シャツの上には黒のカマーバンド(腹巻)、黒の蝶ネクタイを付け、タキシードを羽織ります。
たまに白の蝶ネクタイの方も見かけますが、タキシードの場合は基本黒の蝶ネクタイなんです。
靴はつやのあるタイプで!
足元は客席より目線が高い演奏会では、意外と見られている部分です。
演奏のシーンではエナメル質のようなつやのある、黒い革靴を履くのが基本。
光沢感があるので正式な服装とよく合います。
ブーツやスニーカー、茶色はNGです!
気になる足音はどうする?
そしてピアニストや指揮者は足音が気になるところ。
ピアノのペダルを踏む時や、1人歩く時に「コツ…コツ…」と音がすると演奏に集中出来ませんよね。
演奏会用シューズも売っていて、ペダルを踏みやすい靴の角度まで考えられています。
気になる方はこちら!
ただしこの演奏会用革靴は、値段が少し張るのが惜しいポイントです。
私のおすすめは、社交ダンス用の靴です!
社交ダンスはダンス専用に作られているため、クッションがあり歩きやすく、足に負担がかかりにくく設計されています。
競技人口が多いためデザインも値段も様々。
好きなものを選ぶことが出来ますよ。
本番にあると便利なもの
白いハンカチーフがあると、胸元のポケットに刺すことが出来てよりおしゃれに見せることが出来ます。
燕尾服やタキシードと合わせるとよいでしょう。
本番中、男性は特に夏でも長袖で着こむため、暑くなります。
胸元のハンカチとは別にズボンに何色でもよいのでハンカチを入れておくと、いつでも汗を拭くことが出来ます
曲中の休みや、休憩でよくハンカチで拭いているのは男女問わず見かけますね。
特に手汗があると楽器が滑って演奏にも支障をきたしてしますので、持っておくと安心です!
まとめ
男性の本番衣装は単純なブラックスーツ以外にも種類があり、初めての方は驚いたのではないでしょうか。
ただし、靴は「黒いエナメル質の革靴」を選ぶと間違いないので覚えておくとこれからずっと役立ちますよ!
女性用の服装についてはこちらの記事をご覧くださいね。