演奏会本番で緊張するのはなぜ?思わぬ落とし穴が!対策をヴァイオリニストが徹底解説!

演奏会本番で緊張するのはなぜ?思わぬ落とし穴が!対策をヴァイオリニストが徹底解説! 音楽雑学
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演奏会当日はもちろん、前日から不安と緊張で夜も眠れない…

本番に弱くて、毎回緊張してしまうのはなぜ?

いざコンクールで弾こうとすると指が震えて動かない!

「緊張」は演奏家の悩みの種。
このような経験をした方は多いはずです。

私自身、本番の前は必ずめちゃくちゃ緊張してしまうのが悩み
ピアノ、ヴァイオリンなど演奏歴は楽器問わず長いのですが、音楽を問わず試験や本番というものには幼い頃から悩まされてきました。
その中で考えたことと経験談を交えてお伝え出来たらと思います。

また、緊張で本番だけうまく手が動かない…これはもしかしたら病気という落とし穴も隠れている可能性もあります。

誰かの本番で役立ちますように。
それではスタートです!

演奏中・本番で起こる緊張の正体は何?

良い緊張と悪い緊張・緊張の糸が切れる・音が緊張している・緊張して体が震える…

「緊張」とは様々な意味があります。英語でもtension、excited、nervousなど多くの単語で表すことが出来ますね。
演奏における緊張とはどんな状態かを考えてみましょう。

欧米から広がった「演奏不安」の研究

演奏での緊張とは「演奏不安症」といい、英語のperformance anxietyから来ています。
音楽心理学の分野にて欧米で近年研究が行われていて、病気ではなく演奏時に起こる症状のことを指します。

一般的に「あがる」「あがり症」という状態です。
演奏時に、
不安になる・頭が真っ白になる・集中できない・思うように体が動かない・息が自然に出来ない
など様々な症状が起こってしまい、練習ではいつも出来ていたのに出来なかったり、途中で止まってしまったりと演奏者に多大な影響が起こります。

「緊張」はプロもアマチュアも関係なく誰にでも起こりうる!

音楽は時の芸術。
限られた時間の中でパフォーマンスをしなくてはなりません。

審査されるコンクールや試験はもちろん、発表会や演奏会なども緊張しやすい場面。
反対に自宅で練習するときやアットホームな場所での演奏は緊張が和らぎますよね。

つまりプロもアマチュアも「演奏を誰かに見せる」機会があれば緊張は付いてくるものなのです。

場数を踏めば慣れてくるため、緊張しなくなるのではないか?
と思われますが、経験上そんなことは全くありません。
周りのプロも「緊張しないことはない」と口にする人がほとんどです。

上達すれば難しい曲にチャレンジしていきます。音大やコンクールに挑戦する人もいるでしょう。
するとなぜか前より緊張しやすくなることもあるのです。
この理由についても記事で考察していきます!

「ノルアドレナリン」が緊張で悪さをする

人は危険が迫ると反射的に①闘う(動く)か、②固まるか、③逃げる(本番から逃げる)かのどれかに分かれます。
詳しい説明はここでは割愛しますが、ほとんどの人はあがってしまった状態の緊張では固まってしまうのではないでしょうか。

医学的に緊張とは、ノルアドレナリンという物質が脳から分泌されている状態。
同時に知っておきたいのは、アドレナリンとノルアドレナリンの役割です。

ノルアドレナリン…末端血管を収縮して血圧を上昇
アドレナリン…心臓を収縮して心拍数や血糖値を上昇
両方共通…血圧・心拍数・興奮度を上昇させる・筋肉の刺激・体温上昇

自律神経のうち、交感神経が活発化することで緊張は起こります。
本番など(=危険)が迫るとノルアドレナリンが脳から分泌され、さらにノルアドレナリンからアドレナリンも作られます。
すると身体は勝手に攻撃モードに入ってしまうのですね。

「あれ、攻撃モードって?緊張は動けなくなるんじゃないの?」と思うかもしれません。
興味深いのが、上のような効果は緩やかであればいわゆる「武者震い」と同じ効果をもたらし、集中モードになります。
分かりやすいのがエナジードリンクを飲んだ時みたいな感覚でしょうか。

良い緊張と悪い緊張

ノルアドレナリンは身体の中心部へ熱を集め、命を守ろうとすると同時に脳の働きを覚醒させます。
いい方向へ働けばやる気を上げ、集中力が上がりもうひと踏ん張り出来る薬になるのです。
「良い緊張」です。

よく良い緊張、悪い緊張という言葉を聞きますね。

しかし分泌されすぎると、指先の温度も下がり震えも増え、心臓もドキドキしすぎてうまくコントロール出来なくなります。
これが緊張の正体!
「悪い緊張」です。

悪い方向に働くとパニックになってしまうのですね。
続けてご紹介するパニック障害やうつ、不安障害などにつながる恐れもあるので、ストレスを抱えやすい方はご注意ください。

演奏による緊張ではないかも!こんな症状に困っていたら病気も?

ジストニア

・演奏時だけ指などがうまく動かない
・演奏時だけ痙攣する
・ある日突然症状が起こった
・痛くない

痛くないのに、いきなり思うように指が動かなくなる…
こんなスランプのような悪夢がジストニア。

ジストニアとは、脳の伝達異常により筋肉が正常に動かなくなってしまう病気です。
ある日突然身体の一部が、特定の動作をする際に動かなくなってしまうのがこの症状の特徴。

先天的な遺伝性ジストニアと音楽家やスポーツ選手のように突然発症する局所性ジストニアがあり、後者を職業性ジストニア音楽家はフォーカルジストニア)と呼ぶこともあります。

ピアニストやヴァイオリニストなど、指をよく動かす楽器の人に多い病気です。
しかし指だけでなくトランペット奏者の唇や声楽家ののどなど、様々な箇所に表れるそうです。

詳しくはこちらの記事にまとめているので、気になる方はぜひご覧ください。

パニック障害・不安症・うつなど

・動悸、めまい、息がしづらいなどの症状が突然、または持続的に表れる
・パニック発作を繰り返す
・不安や恐怖に悩まされている
・本番でないときも落ち着かない
・いつも焦っている感覚がある

精神面から自律神経にまで症状が出るものをまとめて記載したものが上記です。
(うつからパニック障害や不安障害へ、またはその逆のように、複雑に絡み合っているためこちらでは細かな分類は割愛します!)

うつの中にパニック障害や不安障害を含むとする場合もあります。

パニック障害の特徴は本番など症状が出るときに、恐怖や不安・心臓がドキドキしたり・息が詰まり苦しい・冷汗が出る・頭が真っ白になるという症状が極度に出て「死んでしまうのではないか」と時には思ってしまうほど追いつめられる点です。

不安障害は漠然とした不安や恐怖や焦燥感があり、長く続いたり、時と場所関係なく表れることがあります。

このような症状は初めは本番だけ出ていたのに、繰り返すことでまた発作が起きてしまうのではないかと怖くなり、日常的に精神や身体に影響が出てしまい悪化した状態に病名が付いたもの。
繰り返すうちに治すのが難しくなるので、ひとつの病気と捉えて軽度なうちからケアしていくことが大切です!

詳しくはこちらの記事を見てみてくださいね。(製作中!)

あがり症

本番など人前に出るとひどい緊張があり、あがってしまいうまく体をコントロール出来なくなる。
これは一般的に緊張して「あがった状態」ですが、医学会では「社交不安障害(あがり症)」と症状にれっきとした名前が付いています。

中でも人前に出る演奏会などに限った状況であらわれる症状を「パフォーマンス限局型社交不安症」と呼びます。

これは先ほどの不安障害の一種です。
ひと昔前までは単なる緊張として軽視されてきましたが、近年ではこれを病気という観点から考え治療するようになっています。

先ほどのパニック障害やうつの例に当てはまらないし、日常生活には問題ないから関係ない。自分は病気ではない。努力や工夫が足りないんだ。
そう考えて頑張ってしまう人ほどますますひどくなってしまう可能性があります。
悪化して本番で取り返しのつかない失敗をする前に、気軽にカウンセラーやお医者さんに相談してみるのもおすすめです。

肩こり・首こり・猫背など、身体が固い

これは意外な視点かもしれませんね。
身体が固かったり肩こりがひどいという症状と緊張などの精神面は、どちらも神経と密接な関係にあります。

本番前に肩を回したりストレッチしたりといった行動をしませんか?
すると緊張が少しほぐれるように感じるかもしれませんが、逆を言えば肩こりや首のこりは全身の運動を妨げます。
自律神経やリンパ、血流なども圧迫するため様々な悪影響を全身に与えます。

猫背にも注意が必要です。
自律神経は呼吸、体温、汗といった生命の維持のために無意識に活動する器官ですが、呼吸は唯一自分の意志でコントロール出来る器官!

つまり、背中や胸が固いと筋肉が柔軟に動けないので呼吸が浅くなるんです
すると緊張した時にさらに呼吸が浅く、深呼吸もうまく出来ないためコントロールが効きにくくなってしまいます。
ただし無理して胸を張るのはおすすめしません!詳しくは次の目次をご覧くださいね。

このような心当たりがある方は整骨院やマッサージ、整体に行くと改善するので検討してみると良いですね!

少し脱線しますが私は体形や体質、身体の固さなど様々な原因から胸郭出口症候群・頚椎症などを発症した経験があります。
精神面で緊張がひどくなり始めたのも同じ時期なので何か共通点があるのかもしれません。

胸郭出口症候群・手根管症候群・頚椎症・腱鞘炎など、筋肉・骨と関係のある記事はこちらをご覧くださいね!(製作中!)

そして身体全身を自由に動かすという観点から、音楽家である方へぜひご紹介したいのが次のアレクサンダーテクニークです。

アレクサンダーテクニーク

アレクサンダーテクニークとは、舞台俳優であるアレクサンダーさんが考案したテクニック。
物理的・精神的両方の側面から、身体の不必要な緊張を取り除いて自由に身体を動かせるようにするメソッド(方法)のことです

考案したアレクサンダーさん自身は舞台俳優でしたが、演奏家にも広く浸透しています。
演奏するときの緊張やストレスを緩和するのにとても効果的なものです。

記事の前半で触れましたが、例えば危険にあった時に無意識に身体を硬直・緊張させて防衛反応をします。
これが演奏時にも無意識に起こっているかもしれません。

ヴァイオリンを構えるときに肩が上がってしまう…ピアノでオクターブを連打するとき腕が引きつってしまう…フルートで息が続かない…演奏時にフレーズに合わせて自然に体が動かない…

このような幅広い悩みに対して
「身体の仕組みを学び、身体のどこの動きが悪いのか、日常の動きでも変な癖が付いていないか」
といったことを根本的に学んでいき、イメージを作り体に連動させていく訓練をしていくのです。

自分でも気が付いていなかった問題や癖を見てくれるので、ぜひ1度学んでみると良いでしょう。
緊張の症状に対してももちろん、アプローチがされていますよ。
音大でもセミナーが開かれており、一般書籍でも演奏に特化した本がたくさん発売されています。

演奏会本番の前に。緊張対策・克服法!

私が本番前日までにいつもやっていること

【準備】

①暗譜をする
②楽譜を見る場合、楽譜を映像として記憶しておく
③場所・服装を変えて演奏してみる
④人に見てもらう、人がいることを想像する
⑤カメラで録画する
⑥手が冷たい状態で演奏する
⑦全力疾走やジャンプをしてから演奏
⑧どこからでも弾けるようにしておく

①暗譜をする
暗譜=楽譜を見なくても1曲通して弾けるように覚えること。
楽譜無しの試験やコンクールはもちろんですが、暗譜を出来る限りしておくと緊張したときに目を閉じて演奏に集中することが出来るというメリットがあります。

目を閉じることで、緊張させる人々の視線やホールの独特な雰囲気から目を逸らせるんです!
練習時から目を閉じて演奏するのがけっこうおすすめ。

②楽譜を見る場合、楽譜を映像として記憶しておく
これは先ほどの暗譜に通じるところがあります。
楽譜にかじりつきにならないことで、曲に感情移入しやすくなるメリットもあります。
目を閉じてもまた楽譜に戻る時に「あれ?どこだっけ!見つからない!」と、とっさに今弾いている場所が見つけられないときも!

私は頻繁にこれをやってしまうため、楽譜をなんとなく絵のように記憶しています。
譜めくりの箇所は入念に。見ていない隙に譜めくりを忘れて迷子になることもあり得ます(笑)

③場所・服装を変えて演奏してみる
いつも自宅や狭い練習室で練習していると、リラックスしてしまうばかりか部屋の音の響きに慣れてしまいます。
すると本番で音の響きにとまどったり、視界も広くて一気に緊張する原因に!

大事な本番前に1度はなるべく椅子がたくさん並んでいる部屋や、広めのスタジオを借りて練習してみるのも良いですよ。

同じ理由から服装も大切。
ドレスと靴も本番のものに着替えて演奏すると、感覚がインプットされるので慌てにくくなります。

④人に見てもらう、人がいることを想像する
これは経験上、かなり効果があるなと感じたものです!
家族や友人に聴いてもらう。

私は部屋で複数人で練習している時に、ふと訪れる休憩タイムにわざと1人で曲を通して弾き、
「ああ、みんな私の演奏を今聴いているんだなあ、どう思っているのかな」
と想像することで緊張感に慣れていました。

いない時には人ではなく、広いホールで見える客席を想像するだけでも効果がありますよ♪

⑤カメラで録画する
カメラで録画するというのは記録が赤裸々に残るということ。
レンズがあるビデオカメラで撮るとより効果てきめんです。

誰かに見せなくても少し緊張が感じられるはずなので、集中するという良い緊張感が得られるはずです。

⑥手が冷たい状態で演奏する
本番前に手を温めて身体をほぐしても、ステージに出て演奏を始めたらあっという間に手が冷たく、冷汗で湿った状態になりませんか?
なのであえてあまり手が動かないコンディションを作って1曲通してみるのが良いでしょう。
冷やす時は保冷剤で冷やすと危ないので、冷たい水に手を浸して湿った手ですぐ弾いてみましょう!

⑦全力疾走やジャンプをしてから演奏
これもあえて緊張した状態を作り出すもの。
心臓がバクバクして息もあがっている時にも演奏出来るようにします。
連続でなわとびをしたり、全力疾走で近所を走ってから演奏すると、緊張していなくてもほどよく焦ってぎこちない演奏をすることが出来ます(笑)

⑧どこからでも弾けるようにしておく
本番前の練習では通し練習をしがちですが、どこで止まってもまた演奏をすぐ途中から再開できる練習をしておくことも大切です。

演奏は小脳で運動記憶として蓄積されていきます。
実は短時間で集中的に練習して覚えたものは短期記憶として記録されるので、数時間のうちに忘れやすいのです。
練習しまくった結果、本番で頭が真っ白になっても無意識で演奏出来るのはこれのおかげ。

しかしいざ身体が制御できないレベルで緊張し止まってしまうと、運動記憶のうちの無意識的な短期記憶ではなく、長期記憶の方から思い出さなくてはなりません。
運動記憶の「長期記憶」は短い練習を小休憩をはさんで繰り返すことでインプットされるのです。

何小節目からでも弾けるようにこまめに練習すると、記憶により定着しやすくなり、さらに緊張しても頭の引き出しからさっと取り出しやすくなりますよ!

本番当日

①練習しすぎない
②睡眠しっかり&軽い有酸素運動を
③朝にカフェインはなるべく摂らない
④本番直前の軽食にはチョコレートやバナナを食べる
⑤誰かと話す
⑥意味の分からない言葉や面白い言葉をしゃべる

①練習しすぎない
ここからは当日に見返すことを想定して、リラックス効果のある青色を使っていきますね笑

当日は不安から朝から練習ばかりしてしまいますが、指が疲労で固くなってしまうことがあります。
すると筋肉面もメンタル面も緊張する原因になるのでおすすめしません。

最後の追い込みは前日、出来れば2日前までに終わらせておきましょう!

②睡眠しっかり&軽い有酸素運動やひなたぼっこを
当然ですが睡眠をとらないと頭が活性化しないので、しっかり本番前日は寝ておきましょう。

また軽い運動「セロトニン」という副交感神経から伝達される物質を分泌させます。
セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれていて、アドレナリンを抑える働きがあるためリラックスするのです。

さらにセロトニンは太陽を浴びることでも分泌されます。
ベストなタイミングは起床後30分以内とされているので、朝起きたらすぐにカーテンを開けて朝日を浴びましょう!

③朝にカフェインはなるべく摂らない
カフェインはアデノシンというリラックス作用のある物質を阻害します。
すると、ストレス物質やアドレナリンの分泌に制御がかからなくなり、過剰に興奮してしまうのです。

良く言えばカフェインは覚醒効果があるということ。
悪く言えばストレスを上げる効果があるということ。

私は本番前日によく眠れなかったとき・激しい曲を弾くときに朝飲んだ経験があります。しかしその結果大失敗!
どうも眠く調子が悪いのに、心臓はドキドキしていざ本番で緊張しすぎてしまいました。
座学の試験などではぴったりかもしれませんが、演奏ではやめておいた方がよさそうです…

④本番直前の軽食にはチョコレートやバナナを食べる
チョコレートのカカオには、ポリフェノール・テオブロミン・マグネシウム・GABAなど緊張に効く成分がたくさん入っています。
ポリフェノールやGABAのストレスを和らげてリラックスする効果、テオブロミンの血行をよくする効果などですね。
ココアにも入っているため飲んでも良いですね!

バナナにもマグネシウムが含まれています。
またトリプトファンはセロトニンを増やし、モリブデン貧血を予防します。

バナナは栄養吸収がよく、手軽にエネルギー補給が出来るため昼食に持って行く人は多いですよ!
控室でもぐもぐ食べる人がよくいらっしゃいます。

⑤誰かと話す
人と話すことで、不安に押しつぶされることは少なくなりますよね。
会話には頭を活性化する効果があり、仕事のパフォーマンスが20%上がったという研究結果もあるんです。

「緊張するねー」「そうだねー」という簡単な話ではなく、
なるべくなら難しい内容の会話をすると頭を使うため緊張する暇もなくなるかもしれません!

1人で外国語をしゃべるのもおすすめです。私はフランス語が得意なので考えながらしゃべりまくっています。

⑥意味の分からない言葉や面白い言葉をしゃべる
これは私なりの最終手段。
なぜか口に出して言ってみたくなる言葉「スリジャヤワルダナプラコッテ」「エカテリーナ・アレクサンドロフスカヤ選手」などを何回も口に出してしゃべります。

早口言葉「ブタがブタをぶったらぶたれたブタがぶったブタをぶったぶったブタとぶたれたブタがぶったおれた」や、周りを気にしない人は「#$d‘m+〇★~!」と意味の分からない奇声でも何でもいいです。

すると「何やってるんだろ自分笑」とくすっと面白くなってくるので、ははっ!と口に出して笑うと呼吸も安定して緊張がほぐれるんですよ!
意外とおすすめです。

演奏中

①深呼吸を忘れない
②客席から見た自分、または尊敬する演奏者を想像する
③観客の1人に好かれようと思って演奏してみる
④観客の1人のストーリーをあらかじめ考えておき、曲にのせて演奏してみる
⑤あえて床、観客の服やアイテムなどに着目する
⑥自分を実力以上に良く見せようとは考えない
⑦自分の一挙一動については考えない
⑧音の「表現」を大切に

①深呼吸を忘れない
緊張してしまった場合、どうしても息が詰まってしまい吐けない状態になります。
その時、時々出てくる長い休みや小休止が呼吸をするチャンスです。

呼吸は唯一自律神経のうち筋肉でコントロール出来る器官。
フレーズの切れ目で深呼吸をすると緊張をリセット出来るんです
もちろん緊張の予防にもなりますよ。

②客席から見た自分、または尊敬する演奏者を想像する
ホールでなぜ緊張するか。原因の1つにいつもと視点が違うから&みんなから見られているから、ということがあると思います。

それなら客席に座っている自分をイメージすれば緊張しにくくなります。
客席から自分がどう見えるのか、普段練習で動画撮影しているならその弾く姿を想像してもいいですし、ドレスでかっこよく弾く自分に酔いしれても緊張はなくなるでしょう。

私がおすすめするもう1つの方法は好きな演奏者がステージで弾く姿を想像すること。
客席目線でもいいですが、自分自身演奏しているわけなので憧れの演奏者の動きになりきるのがおすすめです!

③観客の1人に好かれようと思って演奏してみる
緊張する傾向のある人は、自分に関心が向かっている人が多いという専門家の意見があります。
つまり曲がどうなのか、聴くお客さんはどう感じているのか?ではなく、
弾いている自分はどう思われているのか?を心配するのですね。

しかしコンクールや演奏会はそもそも他人から評価されるもの
自分中心の考えになるのは当たり前ですよね、だからこそ緊張するんです!

そこで大切なのは「人は私自身を見ているのではなく、私の出した音楽を評価している」という考え方。

そして周囲に関心を向けるポイントとして、誰か観客の1人をターゲットにして(その人には申し訳ないですが…笑)その人に捧げる曲だと思う・または好きになってもらおうと全力で弾くのです。
音楽を演奏するのは聴いてほしいから。その欲求に素直になると、緊張は不思議と和らぎます。

④観客の1人のストーリーをあらかじめ考えておき、曲にのせて演奏してみる
これも外に関心を向ける方法。
副業でやった役者の仕事からヒントを得て編み出したものです。

本番前にあらかじめ、ある程度曲の雰囲気に合ったターゲットとストーリーを考えておきます。
「メンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲第3楽章」
…「男性・実はかわいいものが大好き・お茶目な部分があって今日も会社内で暴走中」

ここまで考えたら、誰かお客さんの中で男性1人を見つけます。
演奏中その人の表情が変わっていなくても「きっと心の中でわくわくしているんだろうな、隠しててかわいい!」と想像することでポジティブになれるし、演奏も生き生きとします。
身体が緊張で動きにくい人にも、こうした演技はおすすめです。

⑤あえて床、観客の服やアイテムなどに着目する
視線に困るけど目をつぶるのはちょっと…という人は、床や観客の持っているバッグなどに注目すると冷静になれることもあります。
この時のポイントは2通り。「よく考えすぎないこと」または「よく考えること」です!

正反対なので、自分の適性に合わせて選んでみてくださいね。

まずは「よく考えすぎないこと」の方。
何を持っているんだろう?とか、床に汚れがあるなあ、と細かく考えてしまうと演奏に集中出来ずミスにつながることもあります。
この場合はひたすら無心で同じ場所を穴があくまで見ながら演奏します。するとよい意味で視界が真っ白になり、緊張しにくいですよ。

もう1つの「よく考えること」
こちらは同時に複数の作業が出来たり、頭の回転が早い器用な人に向いています。
観客のアイテムや服、床に注目して細かく想像を膨らませていくと、頭を使うことで冷静になっていきます。
人と話す「会話」と同じような効果ですね。

⑥自分を実力以上に良く見せようとは考えない
これは本当に難しいですが、大切なメンタルトレーニングです
私はまだまだ出来ないですね…訓練中です。

演奏会ならまだしも、試験やコンクールは審査される場なので最大限の演奏を見せたいですよね。
しかし実力以上の演奏をしようとすると、ストレスがかかって緊張の大きな原因になるんです。

大切なのは、評価されるんだと思わせるような言葉「ありのままの自分を見せる」「完璧でなくても大丈夫」
とは考えず、「丁寧でかっこいい自分を見せよう」「チャレンジだ」
と捉えてみることが良いと思います。

今の自分で大丈夫と考えても根底には完璧に弾きたいという想いがあり、今のところ緊張マックスになってうまくいった試しがありません。
以下は試行錯誤中ですが、私なりに少し効果があったものを挙げておきます。

丁寧という言葉を肝に銘じておくと震えてもテンポを一定に保つことが出来ます。
そしてある程度ナルシストになることで、表現に幅が広がりますよ!
また1つ1つの難所をマリオなどのゲームのステージに置き換えてみることで、レベルアップを感じながら演奏することができるかもしれませんね。

⑦自分の一挙一動については考えない
ステージに出るとき
「さっさと歩いて、ピアノの椅子を調整して…あ、ちょっと高いかな…もうちょっと低く、時間かかりすぎかな?あっ待って、今猫背過ぎるかも!」
など色々考えてしまいませんか?

これ経験的にかなり緊張の原因になってしまいます!
演奏中ぽかーんと口が開いちゃっても、深いことは考えずに演奏に集中しましょう。
お辞儀など演奏前の仕草で緊張してしまったらもったいないです

⑧音の「表現」を大切に
丁寧に冷静を心がけて演奏するのも重要ですが、音色や表現を大切にしましょう。
生演奏が良いとされる根本的な理由の1つは、音色や表現が豊かであるから。

聴く人の心を動かす表現を心がけていれば、自分自身も曲に入り込み夢中になりますよね。
どこかで客観的にテクニックなどを分析する視点を忘れてはいけません。
それでも表情豊かに演奏すると、緊張する暇はなくなるでしょう。

和声の響きにしっとりと耳を傾けたり、リズムにのって弾いたり…
これが最も自然で演奏する姿勢として正統だと思うので、なるべく心がけていきたいですね。

きっと素敵な演奏が生まれるはずです。

いかがでしたでしょうか?
緊張の防止や対策は様々な方法がありますが、ぜひご自分にあった方法を見つけてみてくださいね!

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