はじめてのクラシックコンサートで知っておきたい常識!マナーからプレゼントを渡す場合まで

はじめてのクラシックコンサートで知っておきたい常識!マナーからプレゼントを渡す場合まで 音楽雑学
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初めてクラシックの演奏会に行くときに気になるのがホールの雰囲気や持ち物、マナーなど。

共演者に誘われた場合には、差し入れに何かプレゼントを持っていくべきなのか、はたまた会場で会えるのか、終了時間は何時か…など悩みますよね。

一人で行っても浮かないかな…?

遅刻しそう!途中から入ってもいいのかな?

はじめてのコンサートに行く際の果てしない悩みに、ヴァイオリニストが経験をもとにお答えしていきます!

演奏会のタイムスケジュールのあれこれ・常識やマナー

はじめてのクラシックコンサートで知っておきたい常識!マナーからプレゼントを渡す場合まで

開演・終演時間は?

クラシックの演奏会は多くの場合開場・開演時間が記載されています。

開場時間とはその名の通り、ホール内に入れるようになる時間のことで演奏開始(開演時間)30分ほど前に設定されているケースがほとんどです。

一方で終演時間は書いていません。
大体の演奏会は2時間ほどで、小規模の演奏会やバレエは1時間30分ほどで終わります。

オペラは3時間以上かかることがあり、中には6時間の作品も。

ワーグナーという作曲家はオペラ「ニーベルングの指輪」を作曲していますが、全部上演し終わるのに15時間!そのため5時間ほどずつ4日間に分けて演奏していきます。それでも魅力的な作品なのでよく演奏されます。

演奏会に行く日はどれくらいの時間がかかるかを見積もり、その後の予定に支障のないようにしておきたいですね。

休憩時間

休憩は1時間ごとにある場合がほとんど。
交響曲は「楽章」という曲の切れ目がありますが、続けて最後まで演奏されます。
オペラの場合は劇の区切りである「幕」ごとに休憩になります。

15分~20分ありますが、大きな演奏会でトイレに行く場合は長蛇の列になることがあるので注意したいですね。

飲食は客席ではNGなので、ホールのロビーまで出てから取るようにしましょう。
ロビーでは座れるスペースのほか、自販機もあります。場所によっては簡単な軽食店がある場合も。

日本ではあまり見かけませんが、外国では休憩中に周囲の人と感想を言い合って気分転換をする光景が見られます。

「集中して長時間聴くと疲れて途中で寝てしまった!」なんてこともあるので、ほどよくリフレッシュして聴きたいところです。

遅刻してしまったときは?

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遅刻したときに原則曲の途中から入ることは出来ません
小さな音で繊細な場面があるクラシックコンサートでは、周りの人の妨げとなってしまうためです。

遅れた場合は休憩になったタイミングで入ることが出来ます。
ただし1時間ほどで終わるような曲目の場合は休憩がないこともあり、入れないときには諦めざるを得ないケースも。

しかし少人数のコンサートでは入れる場合があります
ホールや会場には受付の人が必ずいるので、怖がらずに入っても良いか聞いてみましょう

ここでひとつ豆知識!
大きな演奏会では開演の5分前には予告ブザーなどで「静かに聴いてね」という合図があることもあります。

昔作曲家たちが生きていた時代には演奏会は静かに聴くものではなく、BGMやショーのように楽しく話しながら観るものでした。

そのためオペラの序曲は「これから始まるよ」という合図で、観客が席に落ち着いて静かになるまでの間に序曲が流されていたという話があります。
今では静かに聴くものという常識が浸透していますが、当時は全然違う風習があったのですね。

クラシックコンサート演奏中のNGマナー

「音を出す」行為

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① シャカシャカ素材の上着
② スマホを消音にしていない
③ 演奏中にしゃべる・歓声を上げる・手拍子
④ 大きな咳・くしゃみ

ライブやクラブとは大きく異なり、クラシック演奏会は基本的に「座って静かに聴くもの」と思っておきましょう。
興奮するような大きな音から繊細な小さな音まで、幅広い音色を楽しむことが出来るのがクラシック音楽の醍醐味です。

ポリエステルのような上着やビニール袋はカサカサと音が出やすいので、席に着いたら脱いで膝の上や足元に置いておきましょう。

スマホはよく会場のアナウンスで「電源を切るかマナーモードに設定の上、通話はご遠慮ください」といった注意をしています。
マナーモードであっても振動する設定にしておくとタイミングによってはブルブル音が聞こえるので、出来れば振動音がしない設定にしておくと安心ですね。

話し声や歓声、加えて手拍子はしたくなる気持ちも分かりますが、やめておきましょう。
特に手拍子はクラシックコンサートに慣れていない方に多くみられます。
調子のよい曲はつい手拍子をしてしまう、という方は気をつけましょう!

ちなみにウィーンフィルハーモニー管弦楽団の「ニューイヤーコンサート」に必ず演奏されるアンコール「ラデツキー行進曲」という曲では、むしろ手拍子が恒例となっている珍しい曲
興味のある人はぜひご覧くださいね。

話に限っていえば大きな音で演奏している時には、こっそり隣の友人と「ここいいね!」と感想を言い合いにっこりすることもあります。
ただしこれは少数派。ファミリーコンサートやイベント会場は別ですが、ホール内の演奏会では演奏が終わってから楽しみを伝え合うようにすると安全です。

そして気をつけたいのが咳やくしゃみ。

生理現象なので仕方のないことではありますが、音だけでなく気分も害しかねません。
出発する前にのどの調子がおかしいと思ったらマスクを持っていく、のど飴をなめるといった対策をすると良いですね!

ちなみに演奏中ののど飴はOKです。オペラやガラコンサート(正式な演奏会)では「演奏中のエチケットに」と、のど飴が置いてあることがあります。
せっかく聴きに足を運ぶコンサート、余計な神経を使わずに楽しんで聴きたいですね!

演奏が終わった瞬間に拍手やブラボー

高確率で出会うのがこれです。
中でも曲が止まないうちにブラボーと歓声を上げるのは「ブラボーおじさん」と呼ばれ、悪いマナーとしてよく耳にします。

指揮者が手を振り下ろす=「曲終わり」の印なので、演奏者全員が落ち着いてから拍手などをするようにしましょう。

生演奏の良さは機械には出せない、その響きや音色に集約されます。
演奏の余韻にひたることなく拍手や歓声を上げるのは他の人の迷惑になるばかりか、生演奏の良さを打ち消してしまいます。

特に静かな曲終わりにやってしまうと鋭い視線が飛び込んでくるはずです。気をつけてくださいね!

体を揺り動かす

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演奏が盛り上がってくるとリズムに体を動かしたくなりますが、ここはぐっと我慢!
あなたの後ろの人は気になって邪魔でしかありません。

手や指なら隣の人にも気づかれにくいので、指でリズムを取るのがおすすめです。

録音・写真撮影

許可を取っていない場合、ホール内での演奏中の録音や写真撮影はアマチュアの演奏会であってもダメです。

「そうだ!知り合いがいるから写真を撮って送ってあげよう」
「今日の思い出に写真を一枚…」

と軽い気持ちで撮ってしまうと、マナー違反であるばかりか下手すると訴えられることもあります。

プロの演奏会ではカメラを構えると係員が注意する様子も見られます。
またアマチュアもれっきとした「演奏団体」。子どもの発表会とは違うと認識しておくと良いですね。

時々ビデオ撮影や写真撮影をしている人がいますが、これは許可を取っている場合か関係者です。
撮りたい場合は団体に事前に許可を取ってからにしましょう。

はじめてのクラシックコンサート、こんなときどうする?

一人で行っても大丈夫?

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全然気にしなくて大丈夫です

男性も女性も、年齢に関係なく一人で演奏会に行く人はしょっちゅう目にします。
プロ、アマチュア演奏会、演奏会の規模もほとんど関係ありません。
30%ほどが一人で聴きに来ているような感じがします。

私自身、洋服を買いに行くような軽い気持ちで一人でふらっとお出かけします!

拍手のタイミング

オーケストラや室内楽の演奏会に行くときは注意!
「交響曲」「~つの小品」「~重奏曲」「ディヴェルティメント」といったタイトルが付いている場合、「楽章」と呼ばれ、曲の一区切りはあっても続けて演奏されます。

指揮者も棒を下ろし、一旦曲が終わったかのように思えますが楽章の間は拍手はしません。

例えば交響曲は4楽章が多く、この場合は4楽章全て演奏をして1曲と考えます。
4楽章演奏を終えてはじめて拍手をするのです。

ただし1楽章ごとに休止があるかというと例外もあり、ベートーヴェン第5番「運命」は第3楽章と第4楽章が、第6番は第4楽章と第5楽章が切れ目なく演奏されます。
反対にチャイコフスキー第6番「悲愴」は第3楽章で盛り上がりがクライマックスを迎えるため、思わず拍手してしまう人が後を絶ちません!

出演者に誘われた!プレゼントはどうする?会えるの?

はじめてのクラシックコンサートで知っておきたい常識!マナーからプレゼントを渡す場合まで

知り合いや友人から演奏会に誘われた場合や、憧れの演奏家のコンサートに行く際に悩むのが

「差し入れやプレゼントは持っていくべきなのか?」
「そもそも会えるのか?」

という点ではないでしょうか。順を追って見ていきましょう。

差し入れは必須ではない

差し入れとは出演者に対して「誘ってくれてありがとう」「コンサート開催おめでとう」の意味を込めて渡すプレゼントのことです。

差し入れは持っていくと喜ばれますが、もちろん持っていくのが当たり前というわけではありません。

体感としては、もちろん差がありますが一般的なオーケストラでは5人のうち1、2人渡しているような感覚でしょうか。
リサイタル(一人がメインとなって行う演奏会)ではけっこうな確率で渡しているのを目にします。

これは基本的には相手との関係性によって決めます。

それほど親しくはない相手…知り合い程度ならば手ぶらで出かけていくことがあります。
反対に、日ごろお世話になっている方や大切に想っている知人や友人ならプレゼントを渡したくなりますよね。

ただし演奏会に慣れている人は何も考えず赴くこともしばしば…笑
一番喜ばれるのは、やはり相手に会って直接顔を見せてあげることなんです。

続いてはどこで差し入れを渡すのか、会えるのかについて見ていきましょう。

楽屋に行ってもいいの?出演者とはどこで会える?

差し入れを渡すとき、大きなホールでは大抵受付で差し入れやプレゼントを預かってもらえます
そこで送り主と出演者の名前を聞いてくれて、係員が楽屋(控室)まで届けてくれるのです。

この作業は休憩中に行われ、出演者が演奏を終えて楽屋に戻ると差し入れがあって喜ぶ、ということです。

でも直接会ってお話したいときは、なるべく受付で渡さないようにしましょう。

結論からいうと、
「楽屋に行っても大丈夫だけど、会えそうなら出演者が出てくるのを待って渡すのがベスト」です。

楽屋はホールの横から奥に進むと「関係者以外立ち入り禁止」と書かれているドアがあり、進むと楽屋になります。

本来ならばこのドアは「出演者や係員以外は立ち入り禁止」という意味なのですが、楽屋に入っても差支えはありません。
境界線を分かりやすくしたり、変な人やファンが殺到したりするのを避けるために書かれているものだと思われます。

ただし楽屋まで来るのは少数派です。
出演者は演奏終了後片付けなどでバタバタしていることが多いため、タイミングを見計らって行きましょう。

出演者が出てくるのを待って渡したいという方は、会場や演奏会のスタイルによって会える場所が異なるので注意が必要です。

プロのオーケストラや演奏団体、特に定期的に演奏会をしているN響や読響、海外のオーケストラなどは演奏終了後さっさと片付けて帰る傾向にあるほか、場合によっては裏口からの撤退になります。
海外著名人の場合は差し入れ自体断るケースもあるので、一層邪魔にならないよう細心の注意が必要です。

リサイタルや小さな演奏会、アマチュアの場合は演奏終了後出演者の方からロビーに来てくれることがあります
可能なら事前に連絡を取っておくと安心かもしれませんね。

→差し入れで渡す内容などについてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧くださいね。

クラシックの演奏会場に持っていくと便利な物

① A4サイズが入るバッグ

演奏会ではパンフレットをもらうのでバッグに入れて持ち帰れるようにしておきましょう。
オーケストラではA4以上のサイズ、小規模の演奏会ではB5サイズのものが多いです。

② のど飴

演奏中はガムやのど飴なら口にしても構いません。
のどの調子がおかしいときに用意しておくと、咳ばらいをせずに演奏に集中出来るので便利です。

③ マスク

近くの人が咳き込むと気になって演奏に集中出来ないということもありますね。
自分ののどのために保湿出来るのはもちろん、念のため持っておくと安心出来ます。

⑤ 軽い上着やストール

ホールは意外と冷房など空調が効いているので、じっとしていると寒くなってしまうことも。
夏は特に、いつでも取り出せてさっと羽織れる服を持っていると良いですね。

④ クッション

オペラなどでは長時間座っているため、腰痛持ちの人には辛いと感じることもあるようです。
ホールの座席は映画館のように深く沈み込むような椅子が多いので、不安な方は薄いクッションを持っていくと無理のない姿勢でいることが出来るはずです。

⑤ オペラグラスや双眼鏡

オペラやオーケストラでは座る席によっては遠くて見えにくいことがあります。
もしお気に入りの演者や演奏者がいたり、一人一人をよく見たい、という時にはオペラグラスや双眼鏡があればじっくり観察することが出来ます。

せっかくお金を払って行く演奏会。納得して楽しめるように準備をしていきたいですね!

まとめ

演奏会のマナーを中心にお伝えしてきました。
クラシックコンサートは難しいマナーがあると思われがちですが、このように案外どれも一般的なマナーなんです。

ホールや受付も分かりやすく設置されているため、一人で行っても迷うこともほとんどありません。何度か行けばすっかりクラシックコンサートになじめるはず。

行こうか迷っているならこの機会にぜひ、足を踏み入れてみましょう!

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